コーヒーに関わる者として、正直に言わなければならないことがあります。
私たちが最もわだかまりを感じているのは、「おいしいコーヒー」と「正しいコーヒー」がいまだに別の棚に並んでいることです。
分断された二つの世界
フェアトレードやオーガニック認証のついた豆は、「社会的に正しい選択」として買われます。
でも、その多くは「味で選ばれている」わけではない。
逆に、スペシャルティコーヒーのシーンでは風味の複雑さや希少性が語られますが、その豆を育てた農家が適正な収益を得ているかどうかは、あまり問われません。
おいしさと正しさ。この二つはずっと、別の文脈で語られ続けてきました。
RAW COFFEEは、その分断を埋めることを出発点としています。
課題 01 ― 気候変動による産地の消滅
コーヒーの木が育つ「コーヒーベルト」は、2050年までに現在の半分以下になると言われています。
エチオピアやグアテマラの高地農家が、何世代もかけて育ててきた品種や、土地が持つ固有の風味——テロワール——が、静かに失われようとしています。
これは、味の問題である前に、文化と生計の喪失です。
今のコーヒーの飲み方を続けたまま、この問題に向き合うことはできません。
課題 02 ― 農家の収益構造の歪み
コーヒーはカカオと並び、生産者と消費者の利益格差が最も大きい農産物のひとつです。
一杯600円のコーヒーのうち、農家に渡るのはほんの数円——という現実があります。
「おいしい」という価値に対する対価が、正しい方向に流れていない。
農家が持続可能な農業を続けるためには、適正な収益が不可欠です。
私たちが直接取引にこだわるのは、この構造に、自分たちの手で少しでも抵抗するためです。
課題 03 ― 消費者の「サステナブル疲れ」
環境や倫理を訴求するブランドが増えすぎた結果、消費者がそのメッセージに鈍感になってきています。
「どうせマーケティングでしょ」という空気。
これは正直、RAW COFFEEにとっても向き合わなければならない課題です。
言葉でいくら「サステナブル」と言っても、届かなくなっている時代。
だからこそ私たちは、言葉ではなく——味で、体験で、透明性で——示し続けることしかないと思っています。
RAW COFFEEとして、大切にしたいこと
課題を「社会問題」として語ることをやめて、「一杯のコーヒーの話」として語り直すこと。
農家の名前、精製の方法、豆が育った土地の記憶。
それをただのラベル表示や認証マークにするのではなく、コーヒーを飲む体験そのものの一部にしていくこと。
「正しいから買う」ではなく、「おいしくて、しかも正しい」——その順番を変えることが、私たちにできる最大の仕事だと思っています。
一杯の中に、産地があり、人がいて、選択がある。
その積み重ねが、コーヒーの未来を少しずつ変えていくと、私たちは信じています。