コーヒーチェリーから生豆を取り出すまでには、いくつもの工程があります。その最初の大きな工程が、果皮と果肉を取り除く「精選」です。この作業を、自転車をこいで行う人たちがいます。
「自転車でつくるサステイナブルコーヒー」を掲げるGOOD COFFEE FARMSは、小規模農家とともに、自転車精選機を使ったコーヒーづくりに取り組んでいます。今回は、その道具と、ドライウォッシュという方法について紹介します。
小さな農家が抱える課題
GOOD COFFEE FARMSは、コーヒー産地の小規模農家が置かれた状況について、次のような課題を挙げています。
- 設備が高価:精製の設備は非常に高価で、小規模農家は持つことができない
- 安く買われる:収穫したチェリーは市場価格に左右され、生産コストも賄えない低価格で買い叩かれることもある
- 水と環境への負荷:燃料や電力を使う精製設備では大量の水が使われ、使用後の汚水の多くが川に捨てられている
- 果皮の処理:チェリーの果皮が山積みのごみとなり、腐敗した果汁が川に流れて水源を汚すこともある
設備を持てない農家は、摘んだチェリーをそのまま売ることになりがちです。価格を自分で決められないことが、小さな農家の暮らしを不安定にする一因になっているといえます。
自転車をこいで、精選する
こうした課題に向き合うために生まれたのが、自転車をこいで動かす自転車精選機です。GOOD COFFEE FARMSは、このパルパーについて、水・電気・燃料を一切必要としないと説明しています。
また、手ごろな価格で、メンテナンスが簡単、設置や移動もしやすいように設計されているといいます。大きな工場や電気の通った設備がなくても、農家が自分たちの手で精選できる。それが、この道具のいちばんの特徴です。
自転車をこいで、環境負荷ゼロ。
ドライウォッシュという方法
一般的なウォッシュドでは、果肉を取り除いたあと、豆のまわりに残るミューシレージを発酵させ、大量の水で洗い流します。大規模な精製所では、そのために電気や燃料も必要になります。
これに対してGOOD COFFEE FARMSは、自転車精選機を使って生豆を取り出す方法を「ドライ・バイシクル・パルピング」と呼び、水・燃料・電気をすべて使わないとしています。これがドライウォッシュです。
RAW COFFEEで扱う「コロンビア ラ・プリマベーラ ドライウォッシュ」は、商品ページで、水・電気・燃料を使わない自転車パルパーで精製されたコーヒーとして紹介しています。48時間の乾式発酵と9日間の乾燥を経て仕上げられ、ネーブルオレンジやカカオニブ、紅茶を思わせる風味を持つコーヒーです。
品質へのこだわりが、収入につながる
GOOD COFFEE FARMSによると、中間業者を挟まずに自ら出荷まで行ったり、完熟したチェリーだけを丁寧に手摘みしたりと、品質にこだわることで、生産者の収益が約3倍になったといいます。
GOOD COFFEE FARMSは、グアテマラで生まれ育ち、2000年代初めに日本へ移り住んだカルロス・メレン氏が2019年に立ち上げました。現在は世界の250以上の小規模農家や協同組合、受賞歴のある生産者と直接連携しているとしています。持続可能で再生可能な農業を通じて、小規模農家を支え、公正な価格を広げ、環境にやさしい技術を生かすことを使命に掲げています。生産者とともに、生産から輸出入、日本国内での流通までを一貫して手がけていることも特徴です。
一杯の向こうにある、ペダルの音
水も電気も燃料も使わずに、農家が自分の手でチェリーを精選する。自転車精選機は、環境への負荷を抑えるだけでなく、生産者が自分のコーヒーの品質と価値を守るための道具でもあります。
RAW COFFEEでは、コロンビア ラ・プリマベーラ ドライウォッシュやグアテマラ ハニーなど、自転車精選機を使ってつくられたコーヒーを扱っています。カップを手にしたときは、遠い産地でペダルをこぐ人たちの姿を、少しだけ思い浮かべてみてください。