スーパーやカフェでコーヒー豆を選ぶとき、パッケージにいくつかのマークがついていることがあります。緑のカエル、フェアトレードのマーク、「有機JAS」の文字。なんとなく「よいもの」の印のように感じていても、それぞれが何を意味しているのかは、意外と知られていないかもしれません。
認証制度は、生産の現場で守られるべきことを基準として定め、それを第三者が確かめるしくみです。今回は、コーヒーでよく見かける認証を紹介します。
認証制度とは
コーヒーは、遠い産地でつくられ、いくつもの手を経て私たちのもとに届きます。飲む人が、生産の現場を自分の目で確かめることはできません。
そこで、環境や働く人、取引のあり方について基準をつくり、独立した検査機関がそれを確かめて、合格したものにマークをつける。これが認証制度の基本的なしくみです。マークは、遠くの現場と飲む人をつなぐ「約束の印」といえるかもしれません。
フェアトレード
フェアトレードは、生産者が持続的に暮らせるよう、取引の条件に注目した認証です。国際フェアトレード基準では、主に次のようなしくみが定められています。
- フェアトレード最低価格:国際価格が下がっても、生産者組合に保証される価格
- フェアトレード・プレミアム:価格とは別に支払われ、生産者組合が使い道を民主的に決める奨励金
- 有機栽培への上乗せ:有機認証のコーヒーには、さらに価格が上乗せされる
フェアトレード・インターナショナルによると、77万5,000以上のコーヒー農家がこのしくみに参加しています。小規模農家がまとまった協同組合が認証の単位となるのも特徴です。
レインフォレスト・アライアンス
緑のカエルのマークで知られるレインフォレスト・アライアンスは、森林や生物多様性の保全、働く人の権利、生産者の暮らしの向上などを幅広く基準に含む認証です。
- 2018年に、グアテマラのコーヒーから始まった認証「UTZ」と統合しました
- 2020年に新しい認証プログラムが始まり、新しいマークに切り替わっています
- 独立した監査機関が、農園や企業を定期的に確認します
マークのカエルは、この団体が活動を始めたコスタリカでよく見られるアカメアマガエルが選ばれたといいます。
有機認証(オーガニック)
有機コーヒーは、化学的に合成された農薬や肥料に頼らない栽培方法でつくられたコーヒーです。国ごとに基準と認証のしくみがあります。
- 日本(有機JAS):登録認証機関が検査し、認証を受けた事業者だけが有機JASマークを付けられます。マークのない農産物や加工食品に「有機」「オーガニック」と表示することは、法律で禁止されています
- アメリカ(USDAオーガニック):収穫前の少なくとも3年間、禁止された物質を使っていない土地であることなどが求められます
日本で「オーガニックコーヒー」として売られている豆は、この有機JASの認証を経ているということになります。
そのほかの認証
- 4C:コーヒー分野から始まった認証で、環境・社会・経済の面から持続可能性を確かめます
- バードフレンドリー:スミソニアンによる認証。有機であることに加え、森林を守るアグロフォレストリーなどで、鳥や生きものの生息地を守っていることが求められます
マークは、遠くの畑と、目の前の一杯をつなぐ約束の印。
マークがないコーヒーは?
ただし、認証のマークがないからといって、そのコーヒーが環境や生産者に配慮していないとは限りません。認証の取得や維持には費用や手間がかかり、小さな農家にとっては負担になることもあります。
そのため、スペシャルティコーヒーの世界では、生産者と顔の見える関係を築くダイレクトトレードや、誰がどこでつくったかを辿れるトレーサビリティを大切にする取り組みも広がっています。
認証は、コーヒーの背景を知るための手がかりのひとつです。マークを見かけたら、それが何を約束しているのかを少しだけ思い出してみてください。一杯の向こう側が、少し近く感じられるはずです。