夜にコーヒーを飲みたいけれど、眠れなくなるのが心配。カフェインを控えたい時期だけれど、コーヒーの時間は手放したくない。そんなときの選択肢がデカフェです。
「デカフェは物足りない」という印象を持っている方もいるかもしれません。けれど、カフェインの取り除き方は進化していて、コーヒー本来の風味をしっかり残したデカフェも増えています。この記事では、カフェインの基本から、デカフェのつくり方までを紹介します。
カフェインは、植物が身を守るための成分
カフェインは、コーヒーの木が自分でつくり出す成分です。苦味を持ち、虫などに食べられにくくする役割があると考えられています。
含まれる量は、コーヒーの種によって異なります。
- アラビカ種:スペシャルティコーヒーの主役。カフェインは比較的少なめ
- カネフォラ種(ロブスタ):アラビカ種の1.5〜2倍ほどのカフェインを含み、苦味が強い
カフェインは焙煎によって大きく減る成分ではなく、焙煎度合いによる量の違いはそれほど大きくないとされます。深煎りのほうが苦く感じるのは、カフェインよりも焙煎によって生まれる成分の影響が大きいのです。
日本の食品成分表では、ドリップで淹れたコーヒー100mlあたりのカフェインはおよそ60mg(粉10gを熱湯150mlで抽出した場合)とされています。ただし実際の量は、豆の種類や粉の量、抽出の仕方によって変わります。
デカフェは、生豆の段階でつくる
デカフェは、焙煎したコーヒーからカフェインを抜くのではありません。焙煎する前の生豆の段階でカフェインを取り除き、そのあとで焙煎します。
基本の流れは、次のとおりです。
- 生豆を水や蒸気で湿らせ、カフェインを取り出しやすい状態にする
- 水、二酸化炭素、溶剤などを使って、カフェインを豆の外へ取り出す
- 豆を乾燥させ、もとの水分値に戻す
- 通常のコーヒーと同じように焙煎する
むずかしいのは、カフェインだけを取り除き、香りや甘さのもとになる成分はできるだけ豆に残すこと。この「選んで抜く」方法の違いが、デカフェの味わいの違いになります。
ウォータープロセス — 水だけで抜く
ウォータープロセスは、化学溶剤を使わず、水とフィルターの力でカフェインを取り除く方法です。
生豆を水に浸すと、カフェインと一緒に風味の成分も水に溶け出します。そこで、カフェインだけを取り除いた「風味の成分を含んだ水」を用意し、そこに新しい生豆を浸します。すでに風味の成分で満たされた水の中では、豆からはおもにカフェインだけが溶け出していく、という仕組みです。
時間と手間はかかりますが、薬品を使わない安心感と、風味の残りやすさから、スペシャルティコーヒーのデカフェで広く選ばれている方法です。
二酸化炭素を使う方法
CO2プロセス(超臨界二酸化炭素抽出法)は、高い圧力をかけて、気体と液体の中間のような状態にした二酸化炭素でカフェインを取り出す方法です。
この状態の二酸化炭素は、カフェインを選んで溶かしやすい性質を持っています。処理が終われば圧力を戻すだけで二酸化炭素は気体に戻るため、豆に残りにくいのも特徴です。大きな設備が必要になるため、大規模な工場で行われることが多い方法です。
サトウキビ由来の方法
シュガーケーンプロセスは、サトウキビを発酵させてつくる酢酸エチルという成分を使ってカフェインを取り除く方法です。酢酸エチルは果物などにも含まれる成分で、サトウキビの産地でもあるコロンビアなどで行われています。
ほんのりとした甘さや果実感が残りやすいといわれ、近年スペシャルティの世界でも見かけるようになりました。なお、デカフェに使える方法の決まりは国や地域によって異なります。
「カフェインゼロ」ではない、ということ
デカフェは、カフェインを完全にゼロにしたものではありません。日本では、カフェインを90%以上取り除いたコーヒーを「カフェインレス」と表示できるというルールがあります。方法や豆によって除去率は異なりますが、通常のコーヒーに比べればごくわずかな量です。
RAW COFFEEのDECAFは、グアテマラの豆を、薬品を使わないウォータープロセスで、カフェインを99%以上取り除いたものです。チョコレートやココアを思わせる甘やかな香りに、やわらかな酸味と、なめらかな口当たり。夜のコーヒーにも、安心して選んでいただけます。
我慢しないで、いつもどおりの一杯を。
カフェインを控えたい理由は人それぞれです。体調や体質について気になることがある場合は、医師に相談しながら、自分に合ったコーヒーとの付き合い方を見つけてください。