私たちが飲む一杯のコーヒーの多くは、大きな農園ではなく、家族で営む小さな畑から届いています。けれど、小さな農家が一軒だけで、精製の設備をそろえ、輸出の手続きをし、海外の買い手と価格を交渉するのは簡単ではありません。

そこで大きな役割を果たしているのが、生産者どうしが集まってつくる協同組合です。今回は、小規模農家と協同組合の関係について紹介します。


コーヒーは、小さな畑から

フェアトレードの資料によると、コーヒーは50か国以上、およそ1,250万の農園で栽培されています。その約95%は5haに満たない小さな農園で、こうした小規模農家が世界のコーヒーのおよそ4分の3を生産しているとされます。

一軒ごとの収穫量は多くないため、個々の農家だけでは市場での立場が弱くなりがちです。相場が下がれば、そのまま暮らしに響きます。


協同組合とは

国際協同組合同盟(ICA)は、協同組合を「共通の経済的・社会的・文化的なニーズを満たすために、自発的に手を結んだ人々の自治的な組織」であり、共同で所有し、民主的に管理する事業体だと定義しています。

ICAが掲げる7つの原則には、次のようなものが含まれます。

ほかにも、組合員の経済的な参加や、自治と自立といった原則があります。大切にされている価値として、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯が挙げられています。

コーヒーの協同組合も、こうした考え方のもとで、組合員である農家どうしが力を合わせて事業を営んでいます。


協同組合が担うこと

エチオピア、インド、ニカラグアのコーヒー農家を比べた2022年の研究では、協同組合とそのスタッフの意欲や能力が、組合員への研修に中心的な役割を果たしていると結論づけています。たとえば、次のような働きが報告されています。

フェアトレードの資料では、2022年時点で624の生産者組織、およそ84万5千人の農家がフェアトレード認証を受けているとされます。

ひとりでは届かない市場にも、みんなでなら手が届く。

品評会でも光る、みんなのロット

協同組合や地域の精製所は、品質の面でも力を発揮してきました。2004年にボリビアで初めて開かれたカップ・オブ・エクセレンスでは、82軒の農家のコーヒーを合わせたロットが1位に選ばれています。

2012年のブルンジの大会では、入賞した17のロットが14のウォッシングステーションから生まれました。多くの農家のチェリーを集めて丁寧に精製し、品質で評価される。小さな農家が力を合わせることで、世界の舞台に立つ道が開かれてきました。


課題もある

もちろん、協同組合があればすべてがうまくいくわけではありません。先の研究では、エチオピアでスタッフの技術力の低さが課題として挙げられ、インドでは、協同組合の支払いが分割になるため、すぐに現金がほしい農家が民間の仲買人に売ってしまう例も報告されています。

協同組合が力を発揮するには、運営する人の力と、組合員からの信頼が欠かせません。研究の著者たちは、認証などの効果を上げるための前提として、協同組合そのものを強くすることが大切だと述べています。


一杯の向こうにある、つながり

コーヒーの袋に書かれた協同組合の名前は、たくさんの小さな農家が力を合わせてつくったコーヒーであることの印でもあります。どこで、誰がつくったのかを辿れるトレーサビリティは、そのつながりを私たちに伝えてくれます。

次にコーヒーを選ぶときは、ラベルの産地や生産者の名前にも、少しだけ目を向けてみてください。一杯の向こうに、たくさんの人の顔が見えてくるはずです。