コーヒー豆は、もとは緑がかった淡い色をした生豆です。それを煎ることで、私たちのよく知る茶色く香ばしい豆に変わります。

焙煎というと専門の機械が必要なイメージがありますが、少量であれば、家庭のフライパンでも体験できます。今回は、家で自家焙煎を楽しむための基本を紹介します。


焙煎で起きていること

焙煎中の豆の中では、次のような変化が順に進んでいきます。

  1. 水分が抜ける:最初は豆に含まれる水分が蒸発していきます。緑がかった色が、しだいに黄色っぽく変わります
  2. 色づき、香りが生まれる:メイラード反応などの反応が進み、茶色く色づきながら香ばしい香りが生まれます
  3. 1ハゼ:豆の内部にたまった水蒸気や二酸化炭素の圧力で細胞の壁が破れ、パチパチと音を立てます
  4. 2ハゼ:さらに加熱を続けると、1ハゼより小さな音で再びはぜはじめます。細胞の壁がさらに壊れ、豆の表面に油がにじみ出てきます

1ハゼが落ち着いたころが浅煎りから中煎り、2ハゼに入ると深煎りの目安になります。音と色の変化が、焙煎度を知る手がかりです。


用意するもの


フライパン焙煎の流れ

  1. ハンドピック:焙煎の前に生豆を広げ、虫食いや欠けなどの欠点豆を手で取り除きます
  2. 予熱:フライパンを中火から強めの中火で温めます
  3. 混ぜ続ける:生豆を入れたら、焦がさないよう休みなく混ぜ続けます
  4. ハゼを聞く:5〜10分ほどで1ハゼがはじまり、ポップコーンのような音がします
  5. 色を見る:見本の豆と見比べながら、好みの色で火を止めます
  6. すぐに冷ます:ざるに移し、混ぜながら手早く冷まします

焙煎中には、豆の表面から薄皮がはがれて舞い上がります。これはチャフ(シルバースキン)と呼ばれ、焙煎で出る副産物です。冷ますときにざるを揺すったり、シンクの上でやさしく息を吹きかけたりすると、取り除きやすくなります。

色が変わり、香りが立ち、豆がはぜる。焙煎は、コーヒーがコーヒーになる瞬間に立ち会うこと。

どこで止める? 焙煎度の目安

全日本コーヒー協会では、焙煎度を、もっとも浅いライトローストから黒に近いイタリアンローストまでの8段階に分けて紹介しています。大まかには、浅煎り・中煎り・深煎りの3つと考えるとわかりやすいでしょう。

一般的に、浅煎りほど酸味が強く、深煎りになるほど苦味を感じやすくなります。はじめは中煎りあたりをめざし、少しずつ止めるタイミングを変えてみると、違いがよくわかります。


気をつけたいこと


焼き上がりから飲みごろへ

焙煎したての豆は、内部にたくさんの二酸化炭素を含んでいます。焙煎後しばらくは、このガスが豆から抜けていきます。少し時間をおくことで味わいが落ち着くといわれ、家庭での焙煎では、焙煎から12〜24時間ほどで風味がいちばんよくなるとする解説もあります。

自分で焙煎してみると、焙煎度による味わいの違いや、焙煎を仕事にする人たちの技術の奥深さを、身をもって感じられるはずです。うまくいかなかった豆も含めて、変化を楽しみながら試してみてください。