コーヒー豆は、もとは緑がかった淡い色をした生豆です。それを煎ることで、私たちのよく知る茶色く香ばしい豆に変わります。
焙煎というと専門の機械が必要なイメージがありますが、少量であれば、家庭のフライパンでも体験できます。今回は、家で自家焙煎を楽しむための基本を紹介します。
焙煎で起きていること
焙煎中の豆の中では、次のような変化が順に進んでいきます。
- 水分が抜ける:最初は豆に含まれる水分が蒸発していきます。緑がかった色が、しだいに黄色っぽく変わります
- 色づき、香りが生まれる:メイラード反応などの反応が進み、茶色く色づきながら香ばしい香りが生まれます
- 1ハゼ:豆の内部にたまった水蒸気や二酸化炭素の圧力で細胞の壁が破れ、パチパチと音を立てます
- 2ハゼ:さらに加熱を続けると、1ハゼより小さな音で再びはぜはじめます。細胞の壁がさらに壊れ、豆の表面に油がにじみ出てきます
1ハゼが落ち着いたころが浅煎りから中煎り、2ハゼに入ると深煎りの目安になります。音と色の変化が、焙煎度を知る手がかりです。
用意するもの
- 生豆:まずは少量から
- 厚手のフライパン:鋳鉄やステンレスなどで、ふちの高いもの
- 木べら:豆を休みなく混ぜるために使います
- ざる:焙煎後の豆を冷ますために使います
- 見本の焙煎豆:色を比べるために、ふだん飲んでいる豆を少し用意しておくと便利です
フライパン焙煎の流れ
- ハンドピック:焙煎の前に生豆を広げ、虫食いや欠けなどの欠点豆を手で取り除きます
- 予熱:フライパンを中火から強めの中火で温めます
- 混ぜ続ける:生豆を入れたら、焦がさないよう休みなく混ぜ続けます
- ハゼを聞く:5〜10分ほどで1ハゼがはじまり、ポップコーンのような音がします
- 色を見る:見本の豆と見比べながら、好みの色で火を止めます
- すぐに冷ます:ざるに移し、混ぜながら手早く冷まします
焙煎中には、豆の表面から薄皮がはがれて舞い上がります。これはチャフ(シルバースキン)と呼ばれ、焙煎で出る副産物です。冷ますときにざるを揺すったり、シンクの上でやさしく息を吹きかけたりすると、取り除きやすくなります。
色が変わり、香りが立ち、豆がはぜる。焙煎は、コーヒーがコーヒーになる瞬間に立ち会うこと。
どこで止める? 焙煎度の目安
全日本コーヒー協会では、焙煎度を、もっとも浅いライトローストから黒に近いイタリアンローストまでの8段階に分けて紹介しています。大まかには、浅煎り・中煎り・深煎りの3つと考えるとわかりやすいでしょう。
- 浅煎り(ライト、シナモン):黄色がかった小麦色からシナモン色。ごく浅いと青くささが残ります
- 中煎り(ミディアム、ハイ、シティ):茶褐色から鮮やかなコーヒーブラウン
- 深煎り(フルシティ、フレンチ、イタリアン):ダークブラウンから黒に近い色。苦味が強くなります
一般的に、浅煎りほど酸味が強く、深煎りになるほど苦味を感じやすくなります。はじめは中煎りあたりをめざし、少しずつ止めるタイミングを変えてみると、違いがよくわかります。
気をつけたいこと
- 煙と換気:焙煎が進むと煙が出ます。窓を開けて換気扇や扇風機を回すか、屋外で焙煎するのも方法です
- チャフの始末:チャフは燃えやすいので、コンロのまわりに残さないようにしましょう
- 焼きムラ:フライパンでは、豆の表面と中心、一粒ごとの焼け具合に差が出がちです。混ぜる手を止めないことが大切です
- 焙煎不足:浅く止めすぎると、穀物や紙、青草のような風味が残りやすくなります
焼き上がりから飲みごろへ
焙煎したての豆は、内部にたくさんの二酸化炭素を含んでいます。焙煎後しばらくは、このガスが豆から抜けていきます。少し時間をおくことで味わいが落ち着くといわれ、家庭での焙煎では、焙煎から12〜24時間ほどで風味がいちばんよくなるとする解説もあります。
自分で焙煎してみると、焙煎度による味わいの違いや、焙煎を仕事にする人たちの技術の奥深さを、身をもって感じられるはずです。うまくいかなかった豆も含めて、変化を楽しみながら試してみてください。