中米のコーヒーといえば、グアテマラやコスタリカを思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど近年、品評会で存在感を増しているのがホンジュラスです。
山がちな国土のあちこちで、たくさんの家族がコーヒーを育てています。近年は品評会での評価も高まり、スペシャルティコーヒーの産地としても注目を集めています。
山あいの家族が育てるコーヒー
ホンジュラスのコーヒー機関であるIHCAFE(ホンジュラス・コーヒー院)は、国内のコーヒー生産を次のように紹介しています。
- 国内18県のうち15県、298市町村のうち210市町村の山間部でコーヒーが育てられている
- 2015/16年の収穫期には、95,471の家族が収穫を報告した
大規模な農園よりも、家族単位の生産者が産業を支えているのが、ホンジュラスの大きな特徴です。
産地の名前を守る取り組みも、早くから進められてきました。2005年11月、マルカラの生産者団体ADOPCAMの申請によって「カフェ・マルカラ」が原産地呼称として認められました。ホンジュラスで、そして中米で初めて法的に認められた、コーヒーの原産地呼称とされています。
6つの産地
IHCAFEは、国内のコーヒー産地を6つの地域に分けています。
- コパン
- オパラカ
- モンテシージョス
- コマヤグア
- エル・パライソ
- アガルタ
それぞれ気候などの条件が異なり、香りや味わいにも違いが生まれるとされます。IHCAFEは、栽培の目安として標高900m以上、上限1,600mほどを挙げています。また、品評会で入賞する農園の多くは標高1,200m以上にあると紹介しています。
ホンジュラスで生まれた品種
IHCAFEのよくある質問には、国内で栽培される品種として、レンピラ、パライネマ、IHCAFE 90、カトゥーラ、パカス、ビジャサルチ、ブルボン、ティピカが挙げられています。
このうちレンピラ、パライネマ、IHCAFE 90は、IHCAFEが育成した品種です。World Coffee Researchの品種カタログによると、それぞれ次のような特徴があります。
- パライネマ:2004年にIHCAFEが発表。ティモールハイブリッドの血を引く系統から選抜され、さび病に強いとされる。木はコンパクトで豆が大きく、収量はとても多い。標高の高い土地では品質の可能性も「良好」と評価されている
- レンピラ、IHCAFE 90:ティモールハイブリッドとカトゥーラの交配によるカティモール系。ただし現在は、ホンジュラスでさび病にかかりやすいことが確認されている
病気に強いはずの品種でも、病原菌の変化によって抵抗性が失われることがあります。2012年に中南米でさび病が大流行したことも、品種づくりの難しさを物語っています。
山あいの小さな畑から、世界が注目する一杯が生まれている。
品評会が変えたもの
ホンジュラスでは2004年から、国際品評会カップ・オブ・エクセレンス(スペイン語でタサ・デ・エクセレンシア)が開かれています。IHCAFEによると、これまでに3,200を超える生産者が参加し、520以上のロットが入賞しました。
2024年には、入賞ロットが1ポンドあたり136.50ドルで落札され、ホンジュラスの電子オークションの記録を更新しています。現在の品評会には、ゲイシャやパカマラなどの部門、伝統的な品種の部門に加えて、パライネマだけを競う部門も設けられています。
一つひとつの家族が丁寧に育てたコーヒーが、品評会を通じて正当に評価される。その流れが、ホンジュラスのコーヒーの可能性を大きく広げてきました。ホンジュラスの山あいには、まだ知られていない味わいがたくさん眠っているはずです。