南米ペルーと聞いて、マチュピチュやアンデスの山々を思い浮かべる人は多いでしょう。そのアンデスの東側に広がる斜面は、じつはコーヒーの産地でもあります。

ペルーは、世界でも有数の有機コーヒーの輸出国として知られています。今回は、米国農務省(USDA)の現地報告をもとに、ペルーのコーヒーの姿を見ていきます。


アンデスの東斜面に広がる産地

ペルーのコーヒーは、主にアンデス山脈の東側の斜面で栽培されています。全25地域のうち16地域でつくられており、主な産地と生産量の割合は次のとおりです。

栽培地のおよそ75%は、標高1,000〜1,800mの範囲にあります。収穫は4月から9月にかけて行われ、6〜7月にピークを迎えます。


ティピカが多い、昔ながらの畑

ペルーでつくられるのは、ほぼすべてがアラビカ種です。品種はティピカが70%以上を占め、カトゥーラが約20%と続きます。

多くの畑はシェードグロウンで、木陰の下でコーヒーが育てられています。実は主に手摘みで収穫され、天日で乾燥されます。精製は水を使うウォッシュドが中心で、果肉除去や発酵、乾燥までを農家自身が行うか、チェリーを地域の加工所に売ることが多いとされます。


小さな農家が支える国

ペルーのコーヒーの90%以上は、5ヘクタールに満たない畑を持つ小規模な農家によって生産されています。約22万3,000の家族が、コーヒーを主な収入源にしているといいます。

小さな農家にとって大きな壁となっているのが、お金を借りにくいことです。土地の登記がないことを理由に銀行の融資を受けられず、買い手や非公式の貸し手に頼らざるをえない。その結果、不利な固定価格の契約や高い金利に縛られることもあります。

そこで多くの農家は、協同組合や生産者団体をつくり、よりよい価格での販売、収穫後の処理の改善、販路の開拓に取り組んでいます。2,000人を超える組合員を持つ協同組合もあり、技術指導や融資の仕組みを備えたところもあります。

小さな畑の手仕事が集まって、ひとつの国のコーヒーになる。

「結果として有機」の畑も多い

ペルーは、約9万ヘクタールの有機認証を受けた畑を持ち、有機コーヒーの輸出で世界をリードする国とされています。

興味深いのは、認証を受けていなくても、実質的に有機で育てられている畑が多いことです。高価な化学肥料や農薬を買う余裕がない小規模農家が多いため、結果として化学的な資材をほとんど使わない栽培になっているのです。

海外のスペシャルティ市場の需要に応えるため、多くの生産者が認証を取得しています。

国際的なコーヒーの品評会にも積極的に参加しており、米国で開かれるスペシャルティコーヒーの展示会「Global Specialty Coffee Expo」では、ペルーの生産者が「Best Specialty Coffee」の賞を何度も受けています。


品評会が光を当てた産地

2017年には、ペルーでカップ・オブ・エクセレンスが開かれました。入賞したロットは、カハマルカ州のハエンやサン・イグナシオ、フニン州、クスコ州のラ・コンベンシオン、アマソナス州、サン・マルティン州、ワヌコ州など、国内の各地から生まれています。最高の92.25点をつけたのは、カハマルカ州ハエンのロットでした。国の名前だけでなく、地域や農園の名前でコーヒーが選ばれる場が、ペルーにも広がっています。


ペルーが向き合う課題

一方で、課題も少なくありません。2013年に始まったさび病の流行はいまも続き、作付けの40%近くに影響しているとされます。2020年からは、ブロッカ(コーヒーノミキクイムシ)の被害も、標高1,500m以下の畑を中心に続いています。

また、2020年末以降に森林を伐採した土地の産品をEUへ輸出できなくするEUの規則に対し、土地の登記や利用の証明を持たない小規模農家が対応しきれないのではないかという懸念も出ています。

木陰の下で、小さな農家が手をかけて育てるペルーのコーヒー。その一杯の背景には、アンデスの自然と、そこで暮らす人々の工夫と苦労があります。