コーヒー豆は、もともと赤い果実の中の種です。その果実——コーヒーチェリーから種を取り出し、乾燥させて生豆にする工程を精製といいます。

この精製の方法によって、同じ農園の同じ品種でも、驚くほど味わいが変わります。RAW COFFEEの商品ページに必ず精製方法を記載しているのも、それがコーヒーの個性を知るうえで欠かせない情報だからです。


まず、チェリーの中身を知る

コーヒーチェリーは、外側から順に次のような層でできています。

精製方法の違いとは、ひとことでいえば「果肉とミューシレージを、いつ・どこまで取り除いてから乾かすか」の違いです。


ウォッシュド — 透明感と明るい酸

ウォッシュドは、果肉もミューシレージもすべて取り除いてから乾燥させる方法です。

  1. パルパーで果皮と果肉を取り除く
  2. 槽の中で発酵させ、ミューシレージを分解する
  3. 水で洗い流す
  4. パーチメントの状態で乾燥させる

種のまわりのものをきれいに取り除くため、雑味が少なく、酸味の輪郭がくっきりしたクリーンな味わいになりやすいのが特徴です。その土地のテロワールや品種の個性が、まっすぐに表れます。


ナチュラル — 果実味と甘さ

ナチュラルは、収穫したチェリーを果肉ごと乾燥させる、もっとも古い精製方法です。2〜4週間ほどかけてゆっくりと天日で乾かし、カラカラになった果実から種を取り出します。

乾燥の間に果肉の糖分や香りが種へと移るため、ベリーやトロピカルフルーツ、ワインを思わせる、甘く華やかな風味になりやすいのが特徴です。水をほとんど使わないので、水資源の少ない地域でも行えます。

一方で、乾燥中にこまめに攪拌しないとムラや過発酵が起きやすく、生産者の手間と経験がそのまま味に表れる方法でもあります。


ハニー — ふたつのあいだ

ハニーは、果皮と果肉を取り除いたあと、ミューシレージを残したまま乾燥させる方法です。ミューシレージのねっとりとした手触りが蜂蜜のようであることから、この名前がつきました。コスタリカで広まり、ブラジルで発達したパルプドナチュラルもよく似た方法です。

ミューシレージをどれだけ残すか、どう乾かすかによって、ホワイト、イエロー、レッド、ブラックなどと呼び分けられます。味わいは、ウォッシュドの透明感とナチュラルの甘さの中間。なめらかな口当たりと、やわらかな甘さが魅力です。


そのほかの精製方法

スマトラ式

インドネシアでは、雨の多い気候の中で乾燥期間を短くするために、半乾きの状態でパーチメントを取り除くスマトラ式が発達しました。重厚なボディと、土やハーブを思わせる独特の風味を生みます。

アナエロビック

近年注目されているのが、酸素を断った密閉容器の中で発酵させるアナエロビックです。温度や時間を細かく管理し、これまでにない香りを引き出します。印象的な風味になる一方、土地の個性より発酵の香りが前に出ることもあり、好みが分かれる方法でもあります。


ドライウォッシュ — 水も電気も燃料も使わない精選

精製は味わいだけでなく、環境への負荷にも大きく関わります。ウォッシュドは果肉を取り除いたあと大量の水で洗い流し、大規模な精製所では電気や燃料も必要になります。

そこで私たちが大切にしているのが、GOOD COFFEE FARMSが提供するドライウォッシュです。自転車をこいで動かす自転車精選機で果皮と果肉を取り除き、水・電気・燃料を使わずにコーヒーを精選します。

大きな設備に頼らないので、小さな農家でも自分の手で丁寧に精選できます。それは環境への負荷を抑えるだけでなく、品質を高め、生産者が自分のコーヒーの価値を守ることにもつながっています。

RAW COFFEEのコロンビア ラ・プリマベーラ ドライウォッシュは、48時間の発酵と9日間の乾燥を経たロット。ネーブルオレンジのような明るさに、カカオニブや紅茶を思わせる落ち着いた余韻が重なります。

どう精製されたかを知ることは、その一杯がどうつくられたかを知ること。

次にコーヒーを選ぶときは、ぜひ精製方法にも注目してみてください。同じ国の豆でも、ウォッシュドとナチュラルを飲み比べると、その違いにきっと驚くはずです。