コーヒー豆の袋を手にとると、国の名前のほかに、農園の名前や品種、精製方法、標高など、さまざまな情報が書かれていることがあります。慣れないうちは、まるで暗号のように見えるかもしれません。

けれど、ひとつひとつの項目には意味があります。ラベルは、そのコーヒーがどこで、誰の手で、どのようにつくられたのかを伝える「履歴書」のようなもの。今回は、ラベルの読み方を順番に見ていきましょう。


どこで:国、地域、農園

まず目に入るのは、生産国の名前です。けれど、同じ国のなかでも、地域によって気候や標高、土壌は大きく異なります。そのためスペシャルティコーヒーでは、地域や農園の名前まで書かれていることが多くなっています。

たとえばRAW COFFEEのコロンビア ラ・プリマベーラ ドライウォッシュの商品情報には、次のような項目が並んでいます。

農園やロットまでたどれることをトレーサビリティといいます。誰がつくったのかがわかることは、品質の手がかりであると同時に、生産者への敬意でもあります。


どのように育ったか:品種と標高

次に注目したいのが、品種と標高です。

ラ・プリマベーラの場合は、ピンクブルボン50%とカトゥーラ50%、標高は1,600〜1,700m。グアテマラ ナチュラルは、パチェ100%、標高1,800〜1,900mです。

産地によっては、標高をもとにした等級がラベルに書かれることもあります。グアテマラの「SHB」はそのひとつです。


どう仕上げたか:精製

収穫したチェリーから生豆を取り出す方法を精製といいます。精製は、カップの印象を大きく左右します。

最近は、発酵の時間や乾燥の日数まで書かれたラベルも増えています。ラ・プリマベーラはドライウォッシュで、48時間の乾式発酵と9日間の乾燥。グアテマラ ナチュラルは、70時間の嫌気性発酵と、パティオでの18日間の乾燥です。


焙煎度と焙煎日

焙煎所のラベルでは、焙煎度と焙煎日もチェックしておきたい項目です。

焙煎度は、浅煎りほど酸味が、深煎りほど苦味が感じられやすくなります。焙煎日は、鮮度の目安になります。SCAの解説では、炭酸ガスの抜け方を目安にすると、豆のままなら焙煎から3週間ほど、挽いた粉なら挽いてから1時間ほどが「新鮮」と考えられるとしています。

ラベルの一行一行は、遠い畑から届いた、短い手紙のようなもの。

テイスティングノートは「地図」

最後に、「オレンジ」「カカオ」「紅茶」といった言葉が並ぶテイスティングノート。これは香料を加えたという意味ではなく、カップから感じられる風味をたとえたものです。

ラ・プリマベーラはネーブルオレンジ、カカオニブ、紅茶。グアテマラ ナチュラルはチェリー、カカオ、赤ワイン。飲む前にラベルを読み、「どこにオレンジがいるだろう」と探しながら味わってみると、香りや味の輪郭がぐっとつかみやすくなります。

テイスティングノートは、答えではなく地図のようなもの。書かれた通りに感じなくても、まったく問題ありません。

ラベルの情報を少しずつ読み解けるようになると、豆を選ぶ楽しみも、飲むときの発見も増えていきます。次に豆を買うときは、袋の裏側の小さな文字にも、ぜひ目を向けてみてください。