コーヒー豆の袋を手にとると、国の名前のほかに、農園の名前や品種、精製方法、標高など、さまざまな情報が書かれていることがあります。慣れないうちは、まるで暗号のように見えるかもしれません。
けれど、ひとつひとつの項目には意味があります。ラベルは、そのコーヒーがどこで、誰の手で、どのようにつくられたのかを伝える「履歴書」のようなもの。今回は、ラベルの読み方を順番に見ていきましょう。
どこで:国、地域、農園
まず目に入るのは、生産国の名前です。けれど、同じ国のなかでも、地域によって気候や標高、土壌は大きく異なります。そのためスペシャルティコーヒーでは、地域や農園の名前まで書かれていることが多くなっています。
たとえばRAW COFFEEのコロンビア ラ・プリマベーラ ドライウォッシュの商品情報には、次のような項目が並んでいます。
- 国・地域:コロンビア、ウイラ州ブルセラス
- 農園:Finca La Primavera(約6ヘクタール)
- ロット:Lot 23C-W2J、2022年の収穫
農園やロットまでたどれることをトレーサビリティといいます。誰がつくったのかがわかることは、品質の手がかりであると同時に、生産者への敬意でもあります。
どのように育ったか:品種と標高
次に注目したいのが、品種と標高です。
- 品種:同じアラビカ種のなかにも、ブルボンやカトゥーラ、ゲイシャなどたくさんの品種があり、香りや味わいの傾向が異なります
- 標高:高地では実がゆっくり熟し、香りや酸の豊かなコーヒーになりやすいといわれます
ラ・プリマベーラの場合は、ピンクブルボン50%とカトゥーラ50%、標高は1,600〜1,700m。グアテマラ ナチュラルは、パチェ100%、標高1,800〜1,900mです。
産地によっては、標高をもとにした等級がラベルに書かれることもあります。グアテマラの「SHB」はそのひとつです。
どう仕上げたか:精製
収穫したチェリーから生豆を取り出す方法を精製といいます。精製は、カップの印象を大きく左右します。
最近は、発酵の時間や乾燥の日数まで書かれたラベルも増えています。ラ・プリマベーラはドライウォッシュで、48時間の乾式発酵と9日間の乾燥。グアテマラ ナチュラルは、70時間の嫌気性発酵と、パティオでの18日間の乾燥です。
焙煎度と焙煎日
焙煎所のラベルでは、焙煎度と焙煎日もチェックしておきたい項目です。
焙煎度は、浅煎りほど酸味が、深煎りほど苦味が感じられやすくなります。焙煎日は、鮮度の目安になります。SCAの解説では、炭酸ガスの抜け方を目安にすると、豆のままなら焙煎から3週間ほど、挽いた粉なら挽いてから1時間ほどが「新鮮」と考えられるとしています。
ラベルの一行一行は、遠い畑から届いた、短い手紙のようなもの。
テイスティングノートは「地図」
最後に、「オレンジ」「カカオ」「紅茶」といった言葉が並ぶテイスティングノート。これは香料を加えたという意味ではなく、カップから感じられる風味をたとえたものです。
ラ・プリマベーラはネーブルオレンジ、カカオニブ、紅茶。グアテマラ ナチュラルはチェリー、カカオ、赤ワイン。飲む前にラベルを読み、「どこにオレンジがいるだろう」と探しながら味わってみると、香りや味の輪郭がぐっとつかみやすくなります。
テイスティングノートは、答えではなく地図のようなもの。書かれた通りに感じなくても、まったく問題ありません。
ラベルの情報を少しずつ読み解けるようになると、豆を選ぶ楽しみも、飲むときの発見も増えていきます。次に豆を買うときは、袋の裏側の小さな文字にも、ぜひ目を向けてみてください。